第九話

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第九話

リオンにプロポーズされた私は今日は王都に来ていた。隣には勿論リオンがいる。今回はお忍びで来ている為、護衛はいない。 何故、王都に来ているかと言うと私達の婚約指環を買いに来たのだ。あっ因みにだけどリオンと私のお父様とお母様にはちゃんと婚約することを伝えた。私のお父様とお母様に至っては号泣さえしていた。 婚約すると言っても結婚は学園を卒業しないと出来ないため、後六年間私はリオンのフィアンセとして過ごす。今私達は十二歳で卒業は早くても十八歳になんないと出来ない。卒業に必要な単位を取れば卒業出来るが、単位が一つでも足りなければ留年になり、また二年学園に通わなければならない。 「ロメ、ロメ! どんな指環にする?」 リオンが嬉しそうに私に声を掛けてきた。リオンはこの日を凄く楽しみにしていたみたいで、普段はとても大人しいが今回は少しはしゃいだ感じがする。私はその光景が微笑ましくて、思わずクスリ、と笑ってしまう。 「……えぇと、やっぱりお互いの瞳の色の石にするのは憧れるかな」 「お互いの瞳の色の石……?」 私がリオンの問いに答えると、リオンは不思議そうに首を傾げた。……え、もしかしてこの言い伝えを知らないのかしら? まさか、と思いながら私は一応リオンに言い伝えの事を説明する。 「えっと、言い伝えがあってね。まぁ、簡単に言うと、婚約指環はお互いの瞳の色の石にするとずっと愛が尽きなくて、幸せでいられるらしいわ」 「お互いの瞳の色の石……買おう。今すぐに」 私の手を掴みながら真顔で言うリオン。少し怖いかな、うん。 こうして私達は指環専門店の店に入った。 「ロメの指環はオニキスの石だな。俺は……ロメの瞳はアレキサンドライトだな」 まずは私の指環を選ぶ事にした。オニキスの石が沢山……。この中から選べと……? 沢山ありすぎて迷うよ。 取り敢えず私は色々と見てみた。するとこの中に一つ。目につくものがあった。 その指環はお世辞にもオニキスの石が大きいとは言えないが、石の周りには蔦の装飾がありとても綺麗だった。 「リオン、私これにする!」 「分かった。それじゃ俺はこれにするかな」 どうやら私が指環を見ている間にリオンも見てきたみたいだ。リオンの指環も私と似たような物だった。ただ一つ違うのは、石の色が赤か黒か。 私達は指環のサイズ調整をしてもらい、指環には『Lomelia to Lion 1452.5.8』と彫って貰った。 因みに、見たことの無い文字はローマ字と言って私とリオンの名前が彫られているみたいだ。 「そう言えばだけど、明日また学園だよ」 リオンがこちらを向いて言う。私はそれに思わず反応してしまう。 「うえぇぇ………」 嬉しいと思ったのも束の間、明日からはまた学園で勉強を頑張らなきゃ。
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