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第十話
私とリオンは馬車に乗り、学園に向かう。正直、シンシア様がいるのなら学園に行きたくない、という気持ちはあるが、何かあったとしてもリオンが絶対守ってくれると信じている。だから私は行きたくないと言う気持ちを押し殺し、学園に向かう。それにリオンがいるだけで私は安心出来るから。
「リオン様、ロメリア様、着きました」
従者が私達に向かって声を掛ける。
私はリオンのエスコートで馬車を降り、私達は校門を潜る。
「そうだ、ロメ。一ついい忘れてたけど明日から俺達の屋敷に住むから」
「えっそれ早く言ってよ!」
「ハハッごめん、ごめん」
私の抗議に軽く笑って謝るリオン。絶対反省してないわよね。
そして、先程リオンが俺達の屋敷、と言っていたが、実は新しく私達の屋敷を建てていたのだ。学園を卒業したら夫婦になる私達の家と言うことだ。
作るのが早くないか、と思われるかも知れないが、そこは魔法で作っているので、うん。
教室の中へ入ると、またしてもシンシア様の前に人集りが出来ていた。
今度はなんだ、と思いながらも私は声を掛ける。
「……皆様、どうかしたのでしょうか?」
一斉にこちらを見る平民、貴族達。皆黙り込んでいる。
「……ロメリア様、発言をお許し下さい」
一人の少年が、私の前に跪き頭を垂れながら言う。多分、見るからに平民出身の子だろう。髪も黒いし。
実は、魔力が高ければ高いほど髪や瞳の色に影響する。魔力が高い平民の殆どは瞳が金、青、緑色になることが多い。そして髪は殆どの平民と同じ黒、茶が多いらしい。因みに、シンシア様の髪色は突然変異的なものらしい。
そして、貴族の場合魔力が高すぎると逆に黒、茶色等の髪色や瞳になるらしい。これに該当するのはリオンだけだ。
因みに私はどの貴族にも有り得ない髪色と瞳らしい。髪はこの世界では有り得ないほど綺麗な緑色で瞳は爛々と輝くほど美しい赤い瞳と言われているらしい。(リオンが言っていた)
そして魔力も指を片手で数えるほど高いらしい。因みにだが、リオンもその中に入っている。
おっと、話を戻すね。
「頭を上げて下さい。そして、貴方の発言を許します」
「はい、ありがとうございます。実は、シンシア様の教科書が破れていたらしくて。床には髪留めが落ちていたんですけど、実はそれがロメリア様の物だとシンシア様が言っていて……」
……私の髪留め? 不思議に思っていると、少年が髪留めを差し出してきた。お礼を言って受け取るが、確かにそれは私の髪留めと似ていた。
だが、しかしそれは私の物では無いと、確証している。何故なら――――――……。
「それはロメのじゃない」
「グスッ何故そう言えるのです!? わたくしの机の下に落ちていたのですよ!?」
シンシア様が言い寄る。私は思わず溜め息を突いてしまった。側にはいた少年少女は私の溜め息にビクッと肩を震わせる。私そんな怖いキャラなのかな? リオンが言う『乙女ゲーム』と言うやつでも悪役令嬢みたいだし。
まぁ、そこはいいや。私は何故自分のでは無いと言える理由を言った。
「「何故なら、今私(ロメ)がつけているから」」
リオンとハモった。同じ事を考えていたんだね。息ピッタリだったよ!
一同が唖然としたことは言うまでも無い。
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