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第二話
ヒロインの名前はシンシア・ロレンツィア。銀髪と緑色の瞳が特徴な美少女だ。(とリオンが言っていた。)因みにだが、彼女は平民出身らしい。
私達は彼女を避けるようにして、教室の端っこを通り、一番後ろの席に付いた。
そして、暫く私達はお喋りに没頭していた。その時だった。問題が発生したのは……………。
ヒロインが近付いて来たかと思うと、私の真横でバタン! 音をさせて転んだのだ。
「……大丈夫でしょうか? シンシア様。」
私がそう声を掛けると、ヒロインはこちらを見て、キッと睨み付けて来た。
「ロメリア様! 酷いですわ! わたくし、何かしましたか? 何故、いきなり足を出してわたくしを転ばせたのですか?」
「……………は?」
思わず声に出てしまった。
……何かした? そんなの私が聞きたいわ。
「……何のことでしょうか。私、リオン様と話していただけですわ。」
というか、平民出身だと聞いていたけど、貴族のルールが分かっていないのかしら。
基本的に、下の身分の者は上の身分の者に話し掛けてはいけない。それが、例え学園であってもだ。
どうしたらこの面倒を回避出来るかしら、と考えていると急に後ろから抱き締められた。
リオンだ。
「君こそ何なんだ。君が勝手に転んだだけだろう? それなのに、何故ロメに言い掛かりを付けるのだ?」
リオンはそれこそ、微笑んでいるが、目は笑っていない。
……リオンさん? ちょーっとお顔が怖いよー?
「なっ言い掛かりを付けないで下さいましっ!」
……言い掛かりを付けているのはあなただよ?
そんな突っ込みをしといて、私は呆れて思わず溜め息をついてしまう。というか、何故、ここに来たの? 私、断罪されたく無いんだけど。
「はぁー。言い掛かりを付けてんのは、君だろ? というか、何急に。貴族のルールを知らないわけ? 普通、身分が下の者は身分をが上の者に話しかけちゃいけないんだよ?」
にこりと微笑んでいるリオンは中々格好良いが、少し怖かった。
「………っ失礼致しますわっ!」
ヒロインはそう言って、何処かへ行ってしまった。
「何なんだ? あれ。」
リオンは首を傾げて言う。
「さ、さぁ?」
何故、急にヒロインはこっちに来たのだろう。私達はただ話していただけなのに。それだけじゃなく、言い掛かりも付けて来た。一体何だったのだろう。
その理由が分かるのは、もうすぐだということは、私もリオンも知ることはなかった。
◇◇◇◇◇
「あっねぇ、リオン! 私達、魔法習えるよね!?」
「それ、さっきも言ってたぞ。」
私の問いに、リオンは苦笑しながら答える。
「うぅ、だって楽しみなんだもん。」
私がリオンを見上げて言うと、リオンは目を細めて笑いながら、私の頭を撫でた。
「皆様、おはようございます。そして、入学おめでとうございます。私はこのクラスの担任のアルフォート・リプラインです。よろしくお願いいたします。」
教室に男性が入って来たかと思うと、担任みたいだ。
「では、早速魔法を習います。」
アルフォート先生はクラスを見渡しながら言う。私は思わず目を輝かせる。
いよいよ、魔法が習えるのだ。
だけど私はまさかあんなことになるなんて、思いもしなかった。
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