第四話

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第四話

「そう言うお前こそ何なの。何故そんなにロメにつかかっんの。」 リオンはニコニコと笑いながら言う。けどやはり目は笑っていない。 ……あーあ、リオン完全に怒っちゃったよ。どうしてくれるのよ。 「何故って……そんなの決まっているではないですかっ! ロメリア様はわたくしに沢山意地悪をしてくるのですよ?」 意地悪? 何を言っているのかしら? 私全然覚えが無いのだけれど。 「お前本当にバカだろ? 俺ずっとロメと一緒にいたけど、そんな素振り一切してねぇけど?」 「り、リオン? 口調が崩れているわよ?」 「あ、ごめん。」 リオンは謝って来た。ん、大丈夫よ。それより、シンシア様はどうすれば良いのかしら。 シンシア様の方を見ると、文字通りプルプルと震えて、目に涙を溜めていた。 「ひっ酷いですわ! わたくし、何かしましたか?どうして皆様、ロメリア様を庇うのです?」 私達は思わず顔を見合わせた。庇われた、というより事実だと思うのは私だけ? では無いようね。リオンも同じような顔をしてるもの。 「……リオン、もう大丈夫だよ。教室戻ろ? 私断罪されたく無いし。」 「……あぁ、そうだな。」 リオンはそう言って私を床に下ろしてくれる。そして、教室に戻る為に私をエスコートしてくれる。 でも、何故シンシア様はいきなりあんなことを言ってきたのだろう。 「ロメ、俺思ったんだけど。シンシア・ロレンツィアって俺と同じ転生者なんじゃないか?」 「転生者……ってリオンと同じように前世の記憶を持っているってこと?」 私が首を傾げて言うと、リオンは頷く。 「じゃなきゃ、俺が『攻略対象』とか知らないはずだし、あんな風に言えない。」 「う、う~ん。確かにそう……だよね。」 でも、『攻略対象』って確かリオンの他にもいるはずだよね? 私は疑問に思ったことを口にしてみる。 「ねぇ、リオン。『攻略対象』って確か、リオンの他にもいるはずだよね?」 私がそう言うと、リオンを真剣な表情で頷いた。 「あぁ。『攻略対象』は俺を含めて四人。まず一人目はこの国の王太子、ヨネスタ・アーロン・ラオム。二人目は隣国の王太子、デルタ・ヨアヒム・クロニカルーテ。三人目はこの俺、公爵令息のリオン・ラミントン。そして、四人目は平民の少年、ルッツだ。」 ……なんか、私には難しい話だわ。 そんな思いが顔に出ていたからか、リオンは少し呆れた顔をした。 ……だって、よく分からないんだもの。 「まぁ、兎も角。ヒロインのシンシア・ロレンツィアに直接聞いてみないか?」
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