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第五話
真剣な面立ちで言うリオン。何故か背中がぞわっとした。私は口を開く。
「い、いやっ。私、シンシア様と話したくない。」
スッと顔を背けてしまう。
もし、今ここでシンシア様に会えば、断罪される確率が高まるかもしれない。私は絶対に断罪されたくない。
「そっか。ごめんな、無理を言って。」
リオンはそう言って、優しく頭を撫でてくれる。
……ごめんね、リオン。私、まだ死にたくないの。
そう言えば、リオンは前世の記憶を持ち、転生者だと言っていた。そして、ここは乙女ゲームの世界で私は悪役令嬢だと。リオンは攻略対象だと。
私、そのことについて詳しく知らない。リオンに聞いてみよう。
「……ねぇ、リオン。ここは乙女ゲームの世界なんだよね。そのことについて詳しく教えてくれない?」
私はリオンのオニキスの瞳を見て言う。
「……あぁ。そう言えば、ロメには詳しく教えて無かったな。
それじゃあ、温室に行こうか。とリオンは言った。
◇◇◇◇◇
私達は温室に来た。空いていたベンチに腰かける。
「えっと、どこから説明すれば良いのかな。」
リオンが考え込みながら言う。大丈夫、私はリオンが話してくれるまで待つよ。
「まず、この乙女ゲームの名前『君との愛は永遠(とわ)に』だ。そして、前に言ったように攻略対象は俺を含めて四人。そしてヒロインと悪役令嬢は一人ずつ。」
えっと、つまり。前に言ったように攻略対象はリオンを含めて四人で、ヒロインはあのシンシア様、悪役令嬢はこの私、ロメリアと言うことね。
それからリオンは私に詳しく説明してくれた。正直、私には難しい内容だったが私は理解出来るように頑張った。
一番驚いたのは、ヒロインがどの攻略対象を選んでも、私は断罪されることだ。一番酷い断罪ルートだと、死刑。軽くても追放だった。
「……ねぇ、リオン。このままだと私、死刑か追放だよ……。私、そんなのやだ……。」
「ロメ…………大丈夫、俺が絶対に守るから。」
リオンはそう言って私を抱き締めてくれた。思わず涙が出てきてしまう。
このままだと私は殺されるか追放だ。どうすれば回避出来るのだろうか。絶対に死にたくない。リオンとずっと一緒にいたい。
ねぇ、神様。一つだけ、一つだけお願いを聞いて下さい。
もし私のお願いが叶うなら、私の運命を変えて下さい。私が断罪される道を無くして下さい。お願いします。私はリオンとずっと一緒にいたいの………。
リオンの背中に回している手に思わず力が入る。すると、リオンは私を更に抱き締め返してくれた。
この先、私はどうなるんだろう。私の中でモヤモヤは晴れなかった。
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