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第七話
「ん………」
すぐ横から声がして、思わず肩をビクッとさせる。そっと横を見ると、ロメが身動きしただけだった。内心慌てながら俺は真っ直ぐ前を見据える。
俺は半ば無意識にロメの#ペリドット__緑色__#の髪を一束取る。そして優しくキスを落とす。
「大好きだ。ずっとずっと、昔から。この先も愛している」
声に出して言ってみる。転生する前から好きだった人。最初は最悪だった。だけど今ではこの乙女ゲームの世界に転生出来て良かったと思っている。こうしてロメと出会えたから。
そろそろ辺りが暗くなってきた。家に帰らないといけない。俺はロメを抱き上げると、歩き始める。
そして、馬車の前に着くと、ロメを抱えながら乗り込む。
「ロメ……この手で閉じ込めてしまいたい。ロメを傷つける奴がいるならこの手で叩き潰す。ずっと守る。だからこれからずっと俺の側にいてくれ……」
なんて言っても届かないのは分かってるけど。でもどうしても言わずにはいられないんだ。こんなにも大好きで、愛しくて、狂おしい。愛しているんだ。
「……リオン様、着きました」
気が付くともう家の前だった。え、待って。着くの早くね? 流石異世界、というべきなのか……。
俺はロメを抱き直す。そして、自室へと向かう。
自室へ着くと、俺はゆっくりとロメの体を寝かせる。ここまでしても起きないってよっぽど疲れていたんだな……。あのシンシア・ロレンツィアのせいだ。アイツ、マジで嫌い。ヒロインだからと言って調子に乗って。俺の一番嫌いなタイプだ。
やっぱり俺はロメが一番だ。大好きで、愛しくて、狂おしい。
……何だか段々眠くなってきた。俺も寝よう。俺はベットに乗り込む。そしてロメの横に寝そべる。最後に、ロメの頬にキスを落として声を掛ける。
「おやすみ、ロメ」
◇◇◇◇◇
チュン、ピピッ
鳥の囀(さえ)ずりが聞こえる。寝ぼけ眼をこすって寝返りを打つと、リオンがいた。……ん? リオン!?
「えぇ!?」
思わず私は辺り一面を見回す。どう言うことだろうか。中庭に居たところまでは覚えている。だけど、それ以降は全く覚えていない。
私、どうなったんだっけ? どうしよう、このままじゃ埒が明かない。
私はチラリとリオンの方を見る。……うん、リオンを起こそう。そして、どうして私がここにいるのか聞こう。
「リオン、リオン。起きて」
「う……ん……」
リオンがうっすらと眼を開けた。そして何度か瞬きをした。
「ロメ……ん!? ロメ!?」
は? なんですか、その反応。
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