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第八話
私の目の前であたふたするリオン。彼の中で一体何があったのかしら。うん、取り敢えず聞こう。じゃなきゃ分からない。
「ねぇ、リオン。ここってリオンの屋敷だよね? どうしてここに私達がいるのかしら?」
顎に手を添え、首を傾げて言う私。するとリオンは何故だか顔を真っ赤にした。
きっと今の私の頭の上には『?』が浮かんでいるだろう。
まず、リオンがこんな表情をするのが珍しい。だから尚更何があったのか知りたい。
「いや、そのもう暗かったから……だから連れて帰った。……今日はもう遅いから泊まっていきな。ロメの両親には連絡してある」
リオンはそれだけ言うとクルン、と後ろを向いてしまった。
……気のせい、だろうか。誰かに『愛している』と言われた気がしたのは。
微睡みの中で誰かに名前を呼ばれた。そして、『愛している』と言われた気がした。なんて、夢見すぎかしら。
「……そっか。リオン、ありがとう」
私は取り敢えず、思考を切り換えてリオンにお礼を言う。すると、リオン急にこちらを向いた。私は驚いて思わず肩をビクッとさせる。
「あの、さ……俺、ロメに言いたかった事があるんだ……。俺……初めて出会った時からずっとロメの事が好きだ」
……へ? 今……なんて言った? 好き? どう言うことかしら。え、ちょっと待って。急すぎない?
「俺と、婚約してくれますか?」
至極真面目な顔で言うリオン。どうやら本当に私の事が好きで言っているみたいだ。正直信じられない。あのリオンが私の事を好きだなんて。なんて返事をすれば良いのかわからない。
そもそも私はリオンの事が好きなのかすら分からない。
いつも私を助けてくれたリオン。優しくて、格好良くて、大切な大切な幼馴染。私はリオンの事が……。
「これからもずっと愛していると誓う。だから、これからもずっと俺の傍にいてくれ」
急に私を抱き締めて言うリオン。私はリオンの言葉に返事をした。
「……こんな私で良ければ、ずっと貴方の傍にいます。私は、リオン貴方の婚約を受けます」
私はそれだけ言うとリオンを抱き締め返す。抱き締められている腕に力がこもったと感じたのは気のせいだろうか。
でもそんなことはどうでも良いんだ。私はリオンが好きで、リオンも私を好きでいてくれる。ただただそれだけ。きっとこれからもずっとそう。
だからね、私まさかあんなことになるなんて予測していなかったんだ。シンシア様があんなことをするなんて。
リオン、いつも心配掛けてごめんね。
「リオン、大好きだよ……」
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