65人が本棚に入れています
本棚に追加
第一話
今日からこの学園に入学する私達。
ロメリア・アクノマリア、それが私の名前。一応伯爵令嬢だ。私の隣にいるのは、幼馴染のリオン・ラミントン。彼は公爵令息。だけど、私達は身分とか関係無く仲が良かった。
「ねぇ、リオン。私達、今日から魔法が習えるんだよね? 私、凄く楽しみなの!」
「そうか。それは良かったな。」
そう言って私の頭を撫でるリオンは何やら真剣な表情だった。
……どうかしたのだろうか。
疑問に思いながらも、私は歩き続ける。リオンが爆弾発言したのは、学園の校門をくぐったあとだ。
「俺、前世の記憶を持ってんだ。実はさ、ロメは悪役令嬢なんだ。」
私は思わず、目を丸くする。
……リオン、何を言っているの?
リオンは一生懸命に説明してくれる。
リオン曰く、どうやらここは乙女ゲームの世界らしい。そして、私は悪役令嬢みたいだ。
「それでさ、このままだとロメ、断罪される。」
「えぇ!? 私が? え、えっ何で?」
えっ、えと、ちょっと待って。気持ちを整理しよう。まずは深呼吸。
スーハースーハー。ん、よし大丈夫。
でも、前世の記憶があると言われただけでも驚いたのに、何故私が断罪されないといけないの?
どうやら、私はこのままだと断罪されるらしい。
「……リオン、私断罪なんてされたく無いよ! どうすれば良いの……?」
私達は顔を見合わせる。そして頷く。
私達は決意したのだ。
私の断罪ルートを回避しよう、と。
「ロメ、断罪って言ってもゲームのシナリオとは別に行動すればされないはずだ。」
「それじゃ、私は助かるかも知れないのね?」
私がそう言うとリオンはオニキスの瞳を輝かせて頷いた。
「ロメ、この世界には悪役令嬢がいるようにヒロインもいるんだ。」
「ひろいん……?」
私は思わず首を傾げる。
「そう。多分、そのヒロインに近づかなければ断罪は大丈夫だと思うが……問題なのは、俺が攻略対象の一人であることだ。」
攻略対象……?
「だからもしかすると、あっちから俺達に近づいてくるかも。」
「えっ私、断罪なんて嫌だよ!?」
思わず声を荒らげる私。すると、リオンはオニキスの瞳を細めて、笑いながら私の頭に手をやった。つまり、私の頭を撫でているのだ。
「大丈夫、俺が何とかするから。」
こうして見つめられると、本当に大丈夫な気がするのは私だけなのだろうか。
「よし、俺達でロメの断罪ルートを回避しよう!」
「うん!」
こうして、私達は私の断罪ルートを回避する為に、戦うのであった。
◇◇◇◇◇
私達は教室の中へ入る。だが、中の様子が少しおかしかった。教室の中心に人が沢山いるのだ。
よくよく見てみると、中心にいたのは…………ヒロインだった。(らしい)
「リオン、あれ……」
「ひ、ヒロインだ……。」
つまり、私達のクラスメイトの中に、ヒロインがいるということだ。私達は思わず、頭を抱えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!