あの子が消えた理由 4

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あの子が消えた理由 4

 家に帰った貴彦は、ベッドの上にごろりと横になった。 「想像上の友達か……そんなこともあるんだなあ」  そこで、何かが引っかかった。 (なつみさんが考え出した友達……なつみさんの想像力が作り出したなら、なんでそのミヤさんは、なつみさんが知らなかった人面犬のことを知っていたんだろう? なつみさんが知らないことは知らないのは当然じゃないか?)  急に冷たい視線を感じた。部屋の隅に、なにか黒い霧のようなものが漂っていた。 「あなたのせいよ。私がなつみと遊べなくなったのは」  木枯らしのような冷たい声。 「多分今、出て行ってもなつみは私をジャマにするわ。だって、今なつみはあなたのことが一番気に入ってるんだもの」  その霧は人の形になる。おかっぱ頭の少女。なつみが描いていた女の子。でも、絵のようにTシャツと短パンを着ていない。代わりに、真っ白な着物を着ていた。 「あなたがミヤ……」  なつみは、ミヤがだんだんと出てこなくなたと言っていた。  貴彦と出会ったばかりのとき、なつみはミヤの事を内緒にしていたらしい。きっと、貴彦といるときミヤが話しかけていても無視していたのだろう。それがつらくて、ミヤは姿を消していたのだ。 「ずっと一緒にいるって約束したのに、なつみもひどいわ。でも、また仲良くなれると思うの」  にっこり笑って、ミヤが両手を差し伸べた。  朝早く、なつみの家に電話がかかってきた。たまたま家電のそばにいたなつみは受話器を取った。 「ああ、もしもし? なつみちゃん?」  相手は貴彦の母親だった。 「貴彦がそっちに行ってない? 朝起きたら、ベッドが空(から)なの。どこにもいないの」  大分焦っているようで、少し早口になっていた。 「いえ、こっちには来てませんが。どうし」  その質問を言い終わる前に、電話が切られた。  これからクラス全員、知り合い全員に電話をかけるつもりなのだろう。 「どうしたんだろう…… 貴彦いなくなったって……」  思わずなつみは呟いた。 「大丈夫よ」 「ミヤ!」  いつの間にかミヤがそばにいた。 「ミヤ、一体今までどこにいたの? 貴彦がいなくなったの。いなくなった理由はなんなんだろう」  ミヤは、落ち着かせるようになつみの肩に両手を置いた。 「大丈夫よ。彼がいなくなったって、私が一緒にいてあげるから」  にっこりとミヤはほほ笑んだ。  
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