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第6話 ズネ
裏路地のカフェに入っていくギュン。ジュリアも嬉しそうについて行く。
店に入るなり反応した店員に、奥の窓際にある広めのソファー席を指さすギュン。眺めの良い方の席にジュリアを座らせて、自分も腰を下ろす。そして、やって来た店員に「いつもの。あ、カフェラテね」と言った。ジュリアは、メニューの中にあったカモミールティーを指差した。
いつもの。と最初に言ったのは何だったのか? 男性と二人きりでカフェに行ったことなどないジュリアだったが、なんとなくギュンの場慣れ感が、気持ち悪かった。
「ジュリア。先ずは、スマートヴィジョンについて……」
「ちょっと待って」
おしぼりで顔を拭きながら、おもむろに話しだしたギュンの言葉を遮るジュリア。
「なんだい?」
「あんた何者なの? これ、ナンパ?」
ジュリアの言葉に、暫しの沈黙……。沈黙を破ったのは、ギュンの股間の物体。
「そうさ! ジュリア! あまりに君が可愛いかったんで! ほら俺も、もうこんなに!」
「嘘つきは黙ってろ!」
ギュンはそう言いながら、股間の物体をグイと押し倒して、両足の間に挟んだ。
嘘つき? どの辺が??
何か釈然としないジュリア。文句を言おうと口を開く前に、ギュンが入り口の方に向かって手を振った。
ジュリアも入り口の方に向くと、そこには大学生風の青年が居た。変わったデザインの黒縁メガネをかけた、おかしな髪型の青年。
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