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ズネ。そしてその隣に立つ、黒くてぶっといマッチョなこけしのような物体。スマートヴィジョン・ブラックインディアン。
ズネはブラックインディアンを紹介すると、ギュンの隣に腰掛け、サッと足を組んで手を顎に添える。
こいつ……、カッコつけてる……。カッコいいと思ってるんだわ……。
ジュリアが注目していると勘違いしたのか、ズネは中指でメガネを少し上げ、その手で前髪をスッとかき上げる。そして元の、手を顎に添えるポーズに戻った。
……そんな変なメガネ、どこで売ってるのよ……。それはいいけど、この隣の物体は……。
ジュリアは、そう思いながら、横に目をやる。
マッチョなこけしが、短い腕でかろうじて腕を組んでジュリアを見下ろしている。襟巻に口元を隠して、その上にある目は二重まぶただ。
さっきまでは、手で掴める程度の大きさの物体だった。ただの興味本位で見ていられた。しかし、今ではジュリアの背丈以上、無視できる大きさではないし、その威圧感に若干恐怖すら感じる……。
「さて、どこまで話したっけ……」
ズネが席に着いたところで、改めて切り出したギュン。
「……私、帰っていいかしら……」
なんとなく身の危険を感じて、ジュリアはギュンの言葉を遮った。そして、そのまま席を立とうとすると、ブラックインディアンがずいと迫ってきた。
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