第1話 その少女の名はジュリア

3/3
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
 表札を確認したジュリアがその家の門をくぐった途端、異常な殺気に包まれた。  緊迫したムードに身震いするジュリア。家の雰囲気の怪しさもさることながら、ジュリアの行動もかなり怪しい。しかし、並々ならぬ好奇心が彼女の背中を押す。  門から家の入り口までは、三歩程度。何処にでもある何の変哲も無い一軒家。玄関の前で立ち止まるジュリア。玄関の扉が少し開いており、電子錠のロックが赤く点滅していることに気づく。  赤いかどうか、点滅しているかどうか、実はそれほどジュリアには関係がない。疑問を抱くこともなく扉に手をかけ、そして、ゆっくりとそれを開いていく。  するとそこには、驚くべき空間が広がっていた。  中庭だ。  玄関の扉を開いて、すぐに中庭。こんな構造の家見たこともない。一軒家なのにワンルーム。しかも、四方の壁が直接地面から建てられているような状態だ。  そして、さらに驚くべき光景が。その地面には何と。    井沢の頭が、無数に転がっていたのだ……。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!