第22話 ミス・アメ~リカ

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 通路を走って、エレベータホールの方まで戻っていったジュリア。  エレベータホールでは、中島部隊の隊員の殆どがぶっ倒されていた。もちろん中島隊長も例外ではなかった。そして、あのド派手なセクシー熟女、キャシーの姿もない……。  その一方で、猛威を振るっていた銀髪の美女は、棺を担いで元の位置に立っている。しかもその表情は、「私、何もしてませんよ」とでも言わんばかりの笑顔だ……。 「大丈夫か? 攻撃を受けたのか?」  合流したジュリアに、Mr.ゴータが尋ねる。 「金髪の男が向こうに逃げてった。時間が止まってた。私だけ動けた」  息を切らせながら、取り繕うかのように、単語をつなげるジュリア。 「……なるほど」  ジュリアの言葉に、Mr.ゴータは何かを理解したらしい。 『フォロワー:ミス・アメリカ  「なんですって? 動いていた人間がいたぁ!? ちょっと、ヴィクター。見間違いじゃないの??」』  再びジュリアの頭の中に音が鳴り、掲示が飛び込んできた。 『フォロワー:ミス・アメリカ  「そんなわけ無いじゃない。どうせ、アフリカと美女チェックでもやってたんでしょ? さっさと、やる事やってよ」』  美女軍団の方を見るジュリア。金髪の美女が、一瞬、疲れたような顔で目玉をぐるりと回しているのが見えた。だが、すぐに笑顔に変わった。 『フォロワー:ミス・アメリカ  「うるさいなあ。あれ、苦しいんだからね。しょうがないな、もう一度行くよ」』  金髪美女が、お腹に手をあてて、呼吸を整えるようなポーズをとっている。 「わ、わ、やばい! またやる気だ!!」  ジュリアの言葉に、振り向くMr.ゴータ。  ジュリアの頭の中に立て続けに掲示が飛び込む。 『フォロワー:ミス・アメリカ  「止める時間は三十秒は、もうたぶん無理……。合言葉は、ミス・アメ~リカね。せーの……」』 「そうだ、みんな! 私と一緒に、同じタイミングで『ミス・アメ~リカ』って言って!!」  ジュリアの言葉に、大げさに耳に手をあてたポーズを取るズネ。 「あんだって? 何言ってんだジュリア?」  そう言うズネを無視して、ジュリアは三つ立てた指をみんなに見せる。そして、口をパクパクさせながら、その指を一本ずつ折っていく……。最後の一本で、大きく頷くと同時に叫ぶ。 「「「「「ミス・アメ~リカ」」」」エイドリア~ン」  ガクン!!
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