第3話 ギュン

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 ギュンという男。いったい何を聞いてくるのか……。  ふと考えるジュリア。自分は調査に来たのだ。訪問調査だ。けっして違法に侵入したのではない……。と、思う……。何の調査? ……謎の死体の調査……。死体は何かマズい……。謎の調査? ……ますます謎だ……。  動揺で考えがまとまらない。そんなジュリアを見つめていたギュンの口が開く。 「リューイチって誰だい?」  ……。予想外の質問に拍子抜けしたジュリア。 「知らないの? 有名なバンドのボーカルよ」  ジュリアの答えに若干首を傾げたギュンだったが、すぐに、ああ、といった表情に変わる。 「100均アイテムで何をしようとしていたんだい?」  う……。押し黙るジュリア……。 「……何のこと? き、聞き間違いじゃないかしら……?」  ジュリアの視線が泳ぐ。それを観察するかのように眺めるギュン。 「それにクローゼットの中だっけ? いったい何を……」 「聞かなかったことにして……」  ギュンの質問を強い口調で遮るジュリア。顔から火が噴きだしそうになりつつ、思わず俯く。  少し怪訝そうな顔をするギュン。 「……まあ、いいだろう。とにかく、危ないところだったな」  どうしても、ジュリアが危なかったことを強調したいようだ。ギュンは続ける。 「君の危険は、こいつが教えてくれたんだ」  そう言うと、前屈みだったギュンは、おもむろに腰を突き出す。するとそこには……、何か得体の知れない、黒光りした棒状の物体……。  だ……、大丈夫なの!?  場所が場所だけに、思わずジュリアは後退る……。
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