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ギュンという男。いったい何を聞いてくるのか……。
ふと考えるジュリア。自分は調査に来たのだ。訪問調査だ。けっして違法に侵入したのではない……。と、思う……。何の調査? ……謎の死体の調査……。死体は何かマズい……。謎の調査? ……ますます謎だ……。
動揺で考えがまとまらない。そんなジュリアを見つめていたギュンの口が開く。
「リューイチって誰だい?」
……。予想外の質問に拍子抜けしたジュリア。
「知らないの? 有名なバンドのボーカルよ」
ジュリアの答えに若干首を傾げたギュンだったが、すぐに、ああ、といった表情に変わる。
「100均アイテムで何をしようとしていたんだい?」
う……。押し黙るジュリア……。
「……何のこと? き、聞き間違いじゃないかしら……?」
ジュリアの視線が泳ぐ。それを観察するかのように眺めるギュン。
「それにクローゼットの中だっけ? いったい何を……」
「聞かなかったことにして……」
ギュンの質問を強い口調で遮るジュリア。顔から火が噴きだしそうになりつつ、思わず俯く。
少し怪訝そうな顔をするギュン。
「……まあ、いいだろう。とにかく、危ないところだったな」
どうしても、ジュリアが危なかったことを強調したいようだ。ギュンは続ける。
「君の危険は、こいつが教えてくれたんだ」
そう言うと、前屈みだったギュンは、おもむろに腰を突き出す。するとそこには……、何か得体の知れない、黒光りした棒状の物体……。
だ……、大丈夫なの!?
場所が場所だけに、思わずジュリアは後退る……。
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