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股間の謎の黒い物体……。何かに気付いて目をそらしたジュリアだったが、やっぱり気になる。ギュンの顔を見つつも、時々視線が下に動く……。
「こいつは、ブラックインディアン。ズネのスマートヴィジョンだ。このズネのスマートヴィジョンは、勘はいいけどよく嘘をつくんだ」
ギュンはそう言いながら、自らの股間を指差す。ジュリアはその指差した方を見る。しかし、理解の助けになったわけでもない。その前に、固有名詞が多すぎて何だかわからない。
ギュンはそのまま会話を繋げる。
「僕のスマートヴィジョンの名は、エヴァ。身に危険を感じないと姿を見せないんだ。詳しくは教えられないけどね……」
詳しくも何も、何を説明されているのかすら分からない。何やら分からないものの、どうやらギュンはエヴァというキーワードが言いたかったようだ。エヴァの ”ヴ” のところを下唇を噛んで強調した。それをジュリアは見逃さない。
ジュリアは、さっきの説明の大半を既に忘れたが、スマートヴィジョンという言葉だけが耳に残った。耳に残ったものの、昨今何にでもスマートと付けたがる風潮があったので、大して興味は湧かなかった。しかし、せっかく語ってくれた手前、ここは少し驚いたように問いかけるべきだろう、という社交性は持ち合わせていた。
「な、何それ? スマートヴィジョン??」
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