Distant summer story

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 また月が昇る。ペンのインクが切れた時、私は不意に顔を上げた。観望台に何か光るものがある。ノートやペンをその場に投げ捨て、観望台の方へ走る。  長く続く螺旋状の階段を登り切った先、瞳に映ったのは街。私の嫌いな町の景色だった。海が、それを映し出していた。  「キレイ。」  それは確かに綺麗だった。見惚れてしまいそうになるほどに。すぐそばにある双眼鏡に手を伸ばそうとしたとき大規模な振動が私を襲った。机にお腹を打ち付けられる感触がひしひしと残っている。気が付くと横に万年筆のような物が落ちているのを見つけた。  「ペン、、?何でこんなとこに、私のじゃないし,,,。」 じゃあ誰のなんだろう、とエルマはひとまずその万年筆を鞄に突っ込んだ。すぐに二回目の振動がやって来る。  螺旋状の階段を駆け下り浜辺に置いたままにしていたノートとペンを回収する。  その時、再び振動がした、気がした。波が私を飲み込む前の事だった。      
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