Distant summer story

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Distant summer story

 レイラと私は3つの時からの幼馴染だった。レイラの両親は共に海観測の仕事を行っている。私の父は漁師をやっているため、会う機会も多かったからだろう。レイラは幼い頃から、私も海観測の仕事を継ぐんだ、と誇らしげに言っていた。  「エルマー!今ねー。快晴で風速は、、んー。なんだろ。」  「そんなんで海観測なんて継げるの?もーちょっと頭よくならないと。」  レイラが海観測の勉強をしてる時、私はひたすら詩を書いていた。私もレイラと同じで夏が好きだった。でも、それは一緒の好きではなかった。レイラは具体的な海の様子が知れるのが良い所だと胸を張って言っていた。私は真反対だったから。何も知らない海をただ色んな感傷に浸って見つめていることが好きなだけだったから。それにレイラは気づいていなかった。あの金髪で青い目をした少女は、海の気象の知り方などを沢山私に話して聞かせてくれた。  一緒に小学校に通っていた頃はその話をへー、なんて言いながら聞いていた 。でも、中学校になった途端に、レイラのその声は私に全く届かなくなってしまった。  私にあるのは海だけになってしまったから。現実から目を背けれる場所が海しかなくなってしまったから。あの青い何処か不気味さのある海だけが私の心の拠り所となってしまったから。エルマがレイラを避けるようになってもエルマは、私は必死に詩を書き続けた。レイラに充てる手紙のような詩を。 ひたすらに書き続けた。届いてほしいなどこれっぽっちも思わなかったのに。  その時間だけが、私の全てになってしまったから。
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