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プロローグ
風は僕たちを追い抜いて、緑の街道を波立たせていた。彼女はずっと遠くの、グリーンよりも遠くの未来を見据えて、丸っこい目を細めていた。どこまでも澄んだ瞳だった。
――うん、きっと大丈夫。
囁くようなその言葉は、たぶん、僕にむけられたものだ。あの白球の描く、糸を引くような美しい軌跡が、僕たちを後押ししてくれる風に否定されるはずがないのだから。
彼女はかすかな笑みを浮かべると、秋色の風を胸の中に取り込んでフェアウェイを踏み出した。
――行こう。
――そうだね、どこまでも。
そうだ、あの時、僕は確かに踏み出していたのだ。優しくて残酷な、緑色の世界の彼方へと向かって。
『人はかけがえのない瞬間、シーンを味わえる素晴らしさを誰でも持っている』
――トム・ワトソン――
(原文直訳)
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