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僕のせいなのか? 僕がこんなに不甲斐なかったから、氷室先輩は責任を感じて……?
心臓がつぶれ、喉から吐き出しそうになる。失血したかのように全身の血の気が引いた。
すると僕の表情が相当に歪曲したのだろう、杉田先輩は想定外の素っ頓狂な声で僕に尋ねてきた。
「お前、知らなかったのか。あいつが全国大会で入賞したこと」
「……へ?」
青天の霹靂だった。いや、僕の心情のベースラインは晴天のはずがなかったが。
「……それって、高校選手権で全国大会まで進んで入賞したってことですか?」
「そうだ、2日間を70と67って回ってトップと二打差、全国の順位で3位だ。ほんと惜しかった。2日目、監督から連絡があって、みんなネット中継見てたんだけどな」
プロとしても戦っていけるスコアのように感じて僕はおののいた。そして思い返すと、確かに監督から連絡があったが、居留守を決め込んだために知る機会を失っていたようだ。
「その後のあいつの悔しがり方といったら、両手を上げて顔を真っ赤にしてな」
その表現に僕は想像をたくましくした。きっとレッサーパンダが威嚇したような姿をしていたのだろう。つい、口にしていたコーラをぷっと吹き出してしまった。
「汚っ!」
「すっ、すいません!」
その時、僕はすでに状況を理解し安堵していた。氷室先輩が学校に来なくなったのは僕のせいではないということを。
「しょうがねぇなぁ、それにしても残念だったな。氷室としばらくお別れなんてよ」
杉田先輩はからかい半分の表情でいう。傍から見れば仲が良さそうだったのだろうか。僕の疑問をよそに続ける。
「学校に来ないのはJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の主催する試合のいくつかに推薦出場が決まったからだ。全国行脚だそうだ、親御さんや監督も同伴するらしい」
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