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真っ暗な背景の中、赤い服を着た、小夜子ちゃんの顔が白く光って白目を剥いている。いや、異常なほど上を見ているのか。
「うわっ」
智哉は智哉は腰を抜かしそうになった。モニターの小夜子ちゃんの姿は直ぐに消え、真っ暗な画面に白い文字が現れた。
『パパ、わたしね、もう赤ちゃん産まれそうなの。
まだ、作ったばかりだけど、お腹の子、成長が速いのが、わたし解る。
お腹の香子は早くパパの顔が見たいってお腹を蹴るよ。
うふふ、パパはね、もとの彼氏にそっくり。
だから、小夜子も香子もパパの事を愛しているよ。
いえ、愛していたと言う方があってるかな。
だって、パパは奥さんがいて子供もいるでしょ。
わたしの事、荷重に思ってるでしょ。
それだけならまだしも怖がってるのを知ってるよ。
なら、なんで、わたしの事抱いたの?
わたしの中に出したじゃない。子供作る気もないのに中だしなんていけないことだよ。
女を玩具にしないでよ』
文字が消えては現れ、現れては消える。智哉は発狂しそうになった。
馬鹿な、こんな事が現実にあってたまるか。
香苗ちゃんは目を覆って先ほど同様にガクガク震えている。智哉は読まれていない事に安堵感を覚えた。だが、智哉もまた立っていられないくらい震えていた。
「どうしたんだ、2人とも」
良太が席を立ち上がり近づいてきた。智哉はモニターを指さす。
「小夜子ちゃんが、小夜子ちゃんがでたんだ」
「なにっ?」
良太はパソコンのモニターに目を移すが字は消えていて、真っ黒な画面があるだけだった。良太は肩を竦めた。
「参ったな、小夜子ちゃんの怨霊か」
智哉は腰が抜けた様にしゃがみ込んで、またガクガク震えた。
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