13

4/4
前へ
/165ページ
次へ
真っ暗な背景の中、赤い服を着た、小夜子ちゃんの顔が白く光って白目を剥いている。いや、異常なほど上を見ているのか。 「うわっ」 智哉は智哉は腰を抜かしそうになった。モニターの小夜子ちゃんの姿は直ぐに消え、真っ暗な画面に白い文字が現れた。 『パパ、わたしね、もう赤ちゃん産まれそうなの。 まだ、作ったばかりだけど、お腹の子、成長が速いのが、わたし解る。 お腹の香子は早くパパの顔が見たいってお腹を蹴るよ。 うふふ、パパはね、もとの彼氏にそっくり。 だから、小夜子も香子もパパの事を愛しているよ。 いえ、愛していたと言う方があってるかな。 だって、パパは奥さんがいて子供もいるでしょ。 わたしの事、荷重に思ってるでしょ。 それだけならまだしも怖がってるのを知ってるよ。 なら、なんで、わたしの事抱いたの? わたしの中に出したじゃない。子供作る気もないのに中だしなんていけないことだよ。 女を玩具にしないでよ』 文字が消えては現れ、現れては消える。智哉は発狂しそうになった。 馬鹿な、こんな事が現実にあってたまるか。  香苗ちゃんは目を覆って先ほど同様にガクガク震えている。智哉は読まれていない事に安堵感を覚えた。だが、智哉もまた立っていられないくらい震えていた。 「どうしたんだ、2人とも」 良太が席を立ち上がり近づいてきた。智哉はモニターを指さす。 「小夜子ちゃんが、小夜子ちゃんがでたんだ」 「なにっ?」 良太はパソコンのモニターに目を移すが字は消えていて、真っ黒な画面があるだけだった。良太は肩を竦めた。 「参ったな、小夜子ちゃんの怨霊か」 智哉は腰が抜けた様にしゃがみ込んで、またガクガク震えた。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加