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 華絵と約束した新宿のカフェには2時に着いた。会社のある千代田区からは東京メトロ丸ノ内線で直ぐだ。智哉は昼食を食べていなかったので、カフェで軽くサンドウィッチでも食べようと思っていた。通夜は5時からなので十分に時間はある。智哉は会社のトイレで着替えをしてあった。喪服でカフェの自動ドアから中へ入る。華絵が美嘉を連れてカウンターの席に座っていた。二人とも、ワンピース型の長袖の喪服を着ている。智哉はレジでショーケースに入った、サンドウィッチを注文すると。アイスコーヒーと一緒のトレーの乗せ、美嘉の隣に腰かけた。 「おとうさーん、皆、黒い服だね」 美嘉が無邪気な顔でほほ笑む。智哉は胸が痛くなるのを覚えた。 「ああ、今日はな、旅行みたいだけど、違うんだ。今日は俺は夜はいないからお母さんと仲良くしてなさい」 「えー。残念、でもいいか。お母さん、どこに行く?」 美嘉は頬を膨らませてからまた笑って華絵の顔を見上げる。 「そうだね、どこ行こうか」 「動物園がいい」 「ダメだよ。黒い服だもの。じゃ、ペットショップでも行く?また猫を飼いたいって言ってたでしょ」 「うん、行きたい」 華絵は頷くとスマートフォンで検索を始めた。 「ららぽーとに大きなペットショップがあるみたい。船橋に泊まるからちょうどいいかな」 「やったー」 美嘉は華絵に抱きつくようにして喜んだ。
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