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新宿から船橋まで行く為に中央線に乗って御茶ノ水に行き、総武線の船橋駅で降りる手段をとった。ららぽーとまではまたバスに乗って行かなければいけない。船橋駅のバス乗り場で立って並んでいると、若いカップルが多いのに気づく。ああ、そうかまだ夏休みなんだ。智哉は妙に納得する。多分デートだろう。デニムのミニのスカートを着ている女の子、黒いチノパンに赤いチェックのシャツを着た男の子、白い歯が太陽に光って眩しい。ふと小夜子ちゃんは何歳なのだろうと考えた。まだ、20歳になってないんじゃないか。疑問が頭を過る。いいや、でもここに居るカップルよりは大人びていた。21歳か22歳くらい。どちらにしても智哉より10歳は若い。智哉は陽炎の揺らめくアスファルトを見ながらぼんやり考えて、我に返った。小夜子ちゃんはこの世のものではなかったことに。
寒気を覚えながら立っていると、バスが停まって、後ろのドアが開く。ららぽーとに行ったとしても智哉は先に出て、通夜に行くことになる。
「俺が行ったら、何処かで夕飯を食べててくれるか?」
華絵の顔を見ながら聞いた。
「うん、ららぽーとの中にお店がたくさんあるみたいだから、探してみるね。智哉さんはどうするの」
「通夜が終ってから、夕飯が出るみたいなんだ。メールに書いてあった」
「そう、また飲み過ぎないでね」
「ああ、肝に銘じておくよ」
智哉は口をギュッと結んだ。華絵は不安そうにその顔を見た。
バスはららぽーとに駐車した。
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