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2人が動物病院に行ってる間、智哉は華絵に告げた通り1階のリビングでソファーに横になって昼寝をして過ごした。
気が付くとエアコンのスイッチが切れて、暑い空気がねっとり智哉の身体に纏わり付いた。智哉はこの猛暑の暑さの中で夢を見て寝てしまっていた。
智哉は都会の道路を何処かに向かって運転している。色の白い、まつ毛が長くて目の大きな美少女が智哉の車の横に乗っていた。白いフリルが付いたブラウスに真っ赤なスカートを着ている。ブラウスの胸元はボタンの隙間からピンクのブラジャーがチラチラ見えた。智哉は気になってそれを横目で何度も見てしまった。夢だからなのか妙に度胸が座っていたのには自分でも驚いた。
「ホラ、前を見て運転しないと危ないよ」
美少女はクスクス笑う。
「ああ、解ってる。君があまりにも魅力的だから見惚れてしまったんだ」
「綺麗な奥さんがいるのに?」
「ああ、男はね浮気をする生き物なんだよ」
「じゃ、今日はわたしを抱いてくれる?」
「いいのかい?」
「ふふふ、そのかわり欲しいものがあるの」
「欲しいもの?宝石かブランドのバッグかな」
「いいえ、あなたの赤ちゃん」
美少女はそう言うとブラウスを脱いだ。陶器のような血の気のない白い肌、智哉は片手でハンドルを握って運転し、片手で美少女の肌に触れた。
「あっ」
氷のように冷たい肌に驚いて手を引っ込める。
「どうしたの?」
「いや、あまりに冷たかったもので」
「それはそうだよ。死んでるんだもの」
美少女が口角をあげるがその眼は笑ってない。車はだんだんと暗い道へ入っていく。
「ほら、誰もいない。チャンスじゃない、わたしを抱いてよ」
美少女は目を瞑ってキスを求める。
智哉は車から逃げ出そうとした。
「だ、誰か助けてくれ」
だが車のドアは鍵が開いているはずなのにビクともしない。
「逃げ出そうだなんて無駄だよ」
美少女は口が裂けんばかりに笑って白目を剥く。
「ウワア」
そこで目が覚めた。エアコンが止まっていたせいもあって灰色のTシャツの胸のあたりまで黒く色が変わる。触るとびっしょりと濡れて汗をかいていた。
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