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 どうやって1階まで降りたのか記憶が曖昧である。智哉は救急車に乗って純一君の横に付き添っていた。救急隊員が血圧を測ったり、脈拍をとってバイタルを確認している。 「とにかく受け入れてくれる病院に搬送します」 智哉はハラハラしながら純一君の青い顔を見つめた。自分自身も血の気がひいて倒れそうだったがここは純一君の具合のほうが先決だ。 「貴方はこの方とどういう関係ですか?」 「友人です」 「家族の連絡先はご存知ですか?」 「あ、はい」  確か。この前自宅の電話番号を教えてもらった。だが母親にはなんて説明したら良いのだろう。幽霊とやって髪が白髪になって意識を失った。誰が信じるのか。智哉はブルっと身震いした後、大きくため息をついた。 ピーポー、ピーポー。ピーポー、ピーポー 救急車はサイレンをあげて夜の東京を走る。ほどなくしてガクンと救急車が止まった。 「中野区中央病院です。一緒にどうぞ」 智哉が先に出ると救急隊員が担架を持って純一君を救急と書かれた病院の入口から中へ運んでいった。智哉はそこから病院を見上げた。12階建ての大きな病院。時間が時間、場所も場所なので人気がまったくと言っていいほどない。智哉は救急隊員に続いて歩いた。ガラス戸を開けて中に入ると白くて眩しい病院内に一瞬クラっときた。 「あなたはここで待ってってください」 「ええ」 「私達は病院に書類を書いて貰ったら帰ります」 「どれくらい掛かりますか?」 「救急隊の仕事はすぐに終わると思いますよ」
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