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「君の首筋はきれいだね」
三崎さんが見とれながら言った。
「自分では、よくわからないんですけど」
「すうっとして、そうやってのどぼとけが上下しているさまを見ると、僕はたまらなくなる」
「そうなんですか」
素っ気ないようだが、内心僕はとても困っている。
「少しだけ、触れさせてもらってもいいかな」
三崎さんは細く長い指先で僕の耳の下あたりをそっと撫でた。そのまま、指先はあごの方に移動し、僕の顔を上向かせた。
「キスだけなら、いいといったよね」
もちろんだ。僕はこれでお金をもらっているのだから。ちなみに、「キスだけ」といった覚えはない。
三崎さんの薄い唇が、僕の唇に重ねられ、さらに三崎さんはぐっと僕を抱き寄せた。
「息なんてさせない」
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