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エッセー 入賞した時のこと③
授賞式でも特に個々の作品の講評はなかったので、特別賞の作品を差し置いて、自分の作品が優秀賞を獲った理由はよく分かりませんでした。
授賞式の後、食事と交流になったので、ずっと特別賞の作品を飛ばし読みしていました。
文芸社の女性社員が近づいてきて、
「授賞作品、私、好きだったのでよかったと思います」
と言ってくれました。
それを聞いて、どうして四百枚の大作が特別賞で、自分の作品が優秀賞だったのか多少分かった気がしました。
あくまで僕の想像です。
特別賞の作品は、タイトルも奇抜だし内容もぶっとんでいたので、好き嫌いの分かれる小説だったと思います。
多分、審査では、評価は高くても積極的に推す人がいなかったのではないかと想像します。
僕の小説は、
・主人公が最後に逆転してクラス委員の女の子といい関係になる。
・ヒロインと主人公の正反対のキャラクター。
・適度にユーモアの入った予定調和的な会話と展開。
と、オーソドックスな内容だったので、二作品を比べた場合、評価が高くて積極的に推して頂けたのではないかと思います。
ハッキリいって僕の書いた作品はあざといです。
ヒロインと主人公の会話は、テレビドラマでよく使われるような陳腐なもの(peanutsのコミックや児童向けのコミックなどが元ネタ)ですが、だからこそスッキリ面白く読めたとは思います。
さらに第一回のコンテストということは重要だったように思います。
あまり好き嫌いの分かれる小説が受賞するよりは、よくも悪くもオーソドックスで、
「すごい!」
と称賛する人もない代わり、
「何でオレの小説じゃなくて、こんな小説が入選するんだ」
と怒る人もいないようなそこそこの小説を選んだのだと思っています。
あと、僕は自分でも文章は巧みだと思っています。(今、書いているライト系小説の文章とは少し違う)
入選して講評を貰った時は、必ず文章のことが触れられていました。
それは大きかったようには思います。
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