エッセー 小説の応募について反省していること

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エッセー 小説の応募について反省していること

 さて僕の入選履歴を見るとハッキリ分かるんですが、偕成社とか集英社といった児童文学の出版社の新人賞は軒並み落選し、文芸社のような共同出版の会社の賞とか、教育委員会主催とか地域の町おこしのための文芸賞といった、その後につながらない賞ばかりでした。  五十五万円貰ったとしても、その後、十万でもいいし三万でもいい、二回目の仕事が来るような賞は獲れませんでした。   エッセイも同じです。企業が自社製品のイメージアップのために行うようなコンテストで入選していました。  著名なエッセイストが主催するコンテストでは入賞できませんでした。  要するにエッセイのレベルよりも、主催の企業のイメージアップになる作品が重視されるコンテストです。  男性用カツラの「ハゲランス」が、男性用かつらにまつわるエッセイを募集したとします。  たぶんレベルはそこそこでも、  「かつらをつけたお陰で彼女ができました」 という頭も心も明るくなるエッセイが入賞するでしょう。  たとえエッセイとしてのレベルは非常に高くても、まちがっても、  「かつらが脱げて破談になって笑いものになり、今、メンタルでカウンセリングを受けています」 というエッセイは入賞は難しいでしょう。  小説を書いていた分、そういった見極めは向上したと思います。  とはいえ、これが今もエブリスタで投稿を続けている理由だと思います。  Bレベルでの入賞に甘んじて、将来を考えた投稿をおろそかにしていた。  大きな賞に入賞するためのレベルアップの努力が圧倒的に欠けていたと反省しています。  名優として知られる菅井一郎の言葉があります。  この人は、新藤兼人や小津安二郎、監督の映画で素晴らしい演技を見せていました。  ところが晩年は、テレビドラマのゲストなどで、「ガミガミ親父」とか「欲張り爺さん」など一枚看板とはいえ、新藤兼人の映画で見せたような絶妙な演技を披露する機会も少なく、実につまらない役をよく演じていました。  菅井一郎は語っています。  「何事もスタートラインが重要だ。スタートラインを誤ると、後で取り返すことは難しい」  本人の自省の意味も込めた言葉だったと思います。  後悔はしていませんが、僕はスタートラインを間違えたまま取り返せず、今もさまよっているのだと思います。  エブリスタに投稿している皆さんの今後の参考になれば幸いです。  
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