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👑オピニオンコーナー投稿の頃①
今は控えていますが、一時、新聞、雑誌のオピニオンコーナーに投稿を続けていた時期があります。
「公募ガイド」をはじめ、作家の方も、
「不特定多数に読ませるにふさわしい内容と文章を書く練習になる。
そのうえ、ちょっとしたお小遣いになるので励みになる」
と勧めています。
全国紙、地方紙・・・たいてい読者が時事問題や季節の風物について意見を投稿するオピニオンコーナーがあります。
朝日新聞の「声欄」には、作家の早乙女勝元や松本清張、俳優の渡辺謙などが投稿していて驚かされたことがあります。
週刊誌によっては読者欄が設けてあります。
四百字~六百字程度。三十分くらいの労働で、よくいけば五千円くらいの図書カードやクオカードになるので、順調にいけばの話ですが、確かに効率のよい小遣い稼ぎにはなります。
朝日新聞の「声欄」は、採用分について三千円の図書カードを謝礼として支払っていたので、数年間、よく投稿していました。
他の新聞は五百円から千円というところでした。
知人に、以前、新聞社に勤務していた人がいたので、最初に話を聞いてみました。
概ね次のようなことを言われました。
もちろん新聞社勤務の経験があるとはいえ、その人の個人的意見です。
・新聞社は、「偏った報道をしている」という意見を気にする。
従ってある政治や経済、外交の問題についてふたつの意見がある場合は、少数意見の方を送るとバランスを期すために採用されやすい。
例を挙げれば、「憲法改正」が話題になっている。その新聞は、現在の憲法を守るべきという論調だ。
それなら逆に「即刻憲法を改正せよ」と投稿する。
一つくらいそういう意見を紹介しなければ偏向報道と批判されると新聞社が考えるため採用されやすい。
小手先のテクニックであり、「倫理的にどうなの」というのは別問題です。
・政治、経済、外交に詳しくない場合でも、子どもの成長のこと。子どもと一緒に桜を見に行った、タンポポがきれいだったなどの他愛のない近況でも、「ヒマネタ」といって大きな事件や話題がない場合、採用される可能性がある。
・地方欄に掲載された郷土の歴史や文化に関する話題を取り上げると、地方版のメリットになるので採用されることがある。
あとひとつ、面白い話をしてくれました。人名などは変更して紹介します。
「あなたは文筆家志望だったね。(エッセーストになりたいと話していた)
だったら教えておくけどね。
例えば、あなたが以前、草深い田舎に仕事で出張し、さびれた旅館に宿泊したとする。
心のやさしい純朴な宿の主人と仲居さんと楽しく交流し、忘れられない一晩を過ごした。
そういうエッセーを書いたとする。
書いた人が安倍晋三、麻生太郎、河野太郎とかだったら、
『へえ。あの人にそんなことがね。知らなかった』
と面白く読んで貰えるだろう。
だがね。
<書いた人 倉橋敦司 サラリーマン>
となっていたらどうだろう。
『何だ。この倉橋とかいうヤツは!お前がどこに行って何しようと、オレたちと関係ないんだ』
『この平サラリーマン。頭おかしいんじゃないか?さっさと消えろ!こんなつまらん文章書くな!』
と叩かれることになる。
無名のあなたが今、書くのなら、
『草深い田舎に行ったら、そこは桃色桃源郷で、酒池肉林の一晩を過ごした。これは他の人は誰も知らない。
私だけが知る驚愕の秘密だ!』
と書かなきゃだめだ。
いいとか悪いとかいう次元ではない。そういうものだ。
君は真面目だから、多分イヤかもしれない。
それなら文章で食べていく仕事は、絶対に無理だ」
そうニコニコ笑って言われました。
その人の眼が笑っていなかったことを、今でも覚えています。
その人の言葉が正しかったのかどうか・・・
今でも、ただのサラリーマンです・・・
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