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全く知らない地域なので、問い合わせをして資料を送って貰いました。
先程書いたようなA町の名所や祭りのことが紹介されていたので、それだけを読んで現代のA町を舞台にした伝奇小説を書きました。
応募したのは短編部門で、四百字詰三十枚以内の規定だったと記憶します。
この町には竜神伝説が残る池があります。この池の竜神と恋仲になった村の青年の生まれ変わりの会社員が時空を超えて竜神と再会するという内容です。
主人公を、社内でリストラされ、社内の営業所の廃棄物収集をさせられているという設定としました。
当時、新聞で読んだリストラの特集を参考にしました。
二、三日で書き終えて封書で送りました。その後は、応募したことも忘れていました。
かなり早い時期に佳作の連絡があったよう記憶します。別途、通知もあったように思いますが、何度も担当の人とは電話で話をしています。
大賞が十万円、優秀賞は三万円、佳作は一万円でした。賞金は、指定の銀行口座に振り込まれました。
まず三月にA町で行われる授賞式への参加できるかどうかの問い合わせがありました。
もう一点重要なことですが、大賞、優秀賞、佳作の掲載された『祭り街道文学大賞短篇傑作選』の購入について、電話で問い合わせを受けました。
十冊は無料で贈呈を受けるのですが、別途自費で購入するかどうかの問い合わせでした。この件については通知も受け取りました。
僕は今、思うと反省の気持ちしか浮かびませんが、かなりハッキリと、
「贈呈分だけで結構です」
と答えました。
二度にわたって問い合わせがあって、二度目の時は、かなりいきりたって、
「前にも言ったはずです。贈呈分だけでいいと!覚えてないのですか!」
と電話口で担当にまくしたてました。
「ご自分でたくさん購入される方も見えますので一応・・・」
「だから大賞や優秀賞ではないでしょう。僕の賞金は一万円です。
たった一万ですよ。
使い道があるのでそれに使います。本を買うお金は全く残りません。
大賞の人とは違うんです」
そんなやりとりでした。
その時は、自分の受賞作品が掲載された本を各方面に送って積極的に自己アピールすることに思い至りませんでした。
主催者に対しても失礼な話だし、短絡的な考えだったと今では思っています。
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