エッセー 共同出版について③

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エッセー 共同出版について③

 自費出版と共同出版とどこが違うかというと、実はあまり違いはないと思っています。  自費出版も共同出版も、著者自身が費用を負担して、出版社から出版するシステムです。  『封神演義』の交渉をした時、ハッキリ出版社の担当が、  「両社にあまり違いはない」 と言いました。  簡単に申し上げれば、共同出版も自費出版の一種だが、共同出版なら書店で流通できると覚えておけばよいのではないかと思います。    電子書籍の自費出版、共同出版もさかんになってきています。 僕は以前にコンテストでの経験を書きました。  そのコンテストの主催者は、電子書籍の自費出版や共同出版を行う出版社でした。  ですので大賞受賞作品は、その出版社が商業出版してくれますが、最優秀賞とか優秀賞とか佳作とかは、主催者より「共同出版」の案内が届くわけです。  今から書くことは、個人攻撃をしたい訳ではないので全て曖昧に或いは少し変えて書きます。  僕が、コンテストの主催者である電子書籍の自費出版や共同出版をしている出版社の出版リストを見ていたら、次のような宣伝文句がつけられてた作品がありました。 「○□▽第四部  コンテスト第七回優秀賞受賞」  調べてみると第一部から第四部まで、コンテストの入賞作品と宣伝文句がありました。  みなさんはどう思いますか?  僕は紹介コーナーで、ストーリーをチェックしてみました。  共通の主人公による独立したミステリーやアドベンチャーストーリーなら分かります。  しかしそのシリーズは少しストーリーがこみいってるから、第一部から通しで読まなければストーリーは通じないはずなのです。  要するにコンテストに、独立した第四部の作品を応募されても第一部から順に読まない限り、ストーリーが把握できないはずなのです。  モーリス・ルブランのルパンシリーズ『813』は二部作ですが、コンテストに第二部だけ応募されても、さっぱりストーリーが摑めないでしょう。  まさか「第四部までのストーリー」が冒頭にある訳ではないとは思います。  第一、独立した作品での応募のはずです。  それが堂々と入賞している・・・  恐らく毎回、シリーズ作品で応募して入賞し、  「入賞作品ですからぜひ出版しましょう。その価値があります」 と出版社から勧められ、原稿用紙百枚前後と仮定して、毎回、三十万なり四十万支払い、電子書籍でずっと出版してきたのでしょう。  賞金は、最優秀賞一万円。優秀賞五千円。佳作三千円。  その本は、シリーズを重ねましたが2019年現在、全く話題にもなっていません。  現実は厳然として存在するのです。
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