エッセー 共同出版について④~新風舎の倒産~

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 僕は日友好団体での苦い経験もあり、冷めた目で見ていました。  ただ児童文学のコンテストも実施していたので、コンテストに応募したことはあります。  賞金が割と高額で、下位でも三万円でした。エブリスタのコンテストも真っ青ですね。  落選した時のことです。担当から電話がかかってきて、  「よい作品で私も感動したので、ぜひ出版したらいかがと思いまして・・・」 というようなことを僕に話しました。  「よい作品とおっしゃいましたが、落選したので本にするつもりはありません」 とハッキリ伝えました。  すると担当は、  「応募作品が多かったので、倉橋さんの作品が劣っていたというわけではありません。  審査の時、私は強くプッシュしていました」 という趣旨のことを述べました。  かなり熱のこもった言い方でした。    「プッシュしていようとどうだろうと結果は落選だろう。  あなたがたが決めたことじゃないのか。  佳作でもなんでも入選していれば検討するけど、落選した以上、この作品に一切、興味ない。  二度と連絡は不要です」 とキッパリと伝え電話を切りました。  ちょうど2007年秋頃だったと思います。  この年の春。突然、公募ガイドから新風舎の広告が一斉になくなりました。  頁を開けば、まるで金太郎飴のように読者の目に飛び込んできた新風舎の広告がなくなったのです。  公募ガイドの公募情報からも新風舎主催のものが消えた。  少しでも考えれば経営危機が頭をよぎるでしょう。僕もそう思っていました。
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