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エッセー 共同出版について⑦日本文学館との日々
ここまで共同出版を巡る自分の経験をいろいろ書いてきました。
最後に、「日本文学館」という共同出版、自費出版中心の出版社について、自分の経験したことを書いてみます。
日本文学館というのは、一時期、公募ガイドに何頁も広告を掲載していました。
この出版社の特徴は、コンテストが非常に多かったこと。
ハガキ一枚から参加できるというお手軽コンテストもずいぶんありました。
また企画段階から出版社が参加しアドバイスを行い、執筆についても全面的に協力するという独特の共同出版スタイルを宣伝していたのが特徴です。(独自の共同出版システムには、カタカナの名前がついていましたが忘れました)
ぼくのことを話しておきますと、携帯電話を本格的に使用したのは最近のことです。
最初はカード式の携帯を使用していました。元々、プライベートを制限される携帯電話が嫌いだったのですが、親族の病気などで緊急の連絡に必要でカード式を購入したのです。
最終、携帯を契約したのは、ネットの魅力が大きかったです。ネットがなければ携帯の契約はしなかったでしょう。
おかげでエブリスタで、素晴らしき投稿仲間の人達と交流しているわけです。
さて日本文学館のことですが、「恋するポット」といったタイトルで、「恋愛」をテーマに、四百字詰原稿用紙五枚以内(だったと記憶します)の掌編を募集したことがあります。
三十作を選んで作品集に収録。賞金は五千円の図書カードでした。
僕は児童文学を志す傍ら、手軽に応募できるようなコンテストがあれば参加していました。
ちょうど児童文学のコンテスト用の原稿を仕上げたばかりで、本当にお手軽な気持ちで参加しました。
一ケ月ほど経ったときのことです。
夜十時頃、突然、家の固定電話が鳴りました。
遅い時間だったので、いぶかしく思いながら電話を受けました。
日本文学館の大針(仮名)と名乗る男性が、僕の作品が最終選考作品に選ばれて、明日、最終選考を行うと伝えてきました。
大針と名乗る男は熱っぽく、
「倉橋さんの小説を読んで『かたい』を思い出しました。実に素晴らしい小説です。
明日の選考会では、第一にプッシュします。絶対プッシュします」
と壊れたCDプレーヤーのように繰り返しました。
率直に書きます。三十作も選ばれるので、もしかしたらという思いはありました。大針さんは、「プッシュする」を強調していましたし・・・
それにしても『かたい』とは何のことだろうかと首をひねっていました。
大針さんは、日本文学館独自の共同出版システムのことも勧めてきました。
僕はハッキリ、
「入選したらまた話しましょう」
と答えました。
明日中に選考結果を連絡すると言って、電話か終わりました。
その後、しばらく考えていて、「かたい」というのは、自然主義文学で知られる田山花袋のことだと気がつきました。
僕はそんなだいそれた小説を書いた覚えもないので驚きました。
なぜ僕の作品に、田山花袋の名前なんか出してきたのか・・・
大針さんが、他の文学者の名前を知らなかったのか?
いまだに謎です。
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