エッセー 共同出版について⑦日本文学館との日々

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 大針と名乗る人間からの留守番電話は五日くらいで終了しました。  しかしその後も日本文学館からの連絡は続いていました。  突然に日本文学館からの封書が届いたのです。  内容は概ね下記の通りでした。  <この度、新日本文学館では作品集を刊行することになり、以前、優れた作品をお送り頂いたあなたが栄えある執筆者に選ばれました。  規定の枚数内(ハッキリした記憶がないが、四百字詰原稿用紙三十枚以内だったようにも思う)で小説、エッセー、詩などの文芸作品をお送りください。  執筆者の方には、作品の掲載された作品集を一冊贈呈致します>  封書はすぐ資源ゴミに回しました。  それから一ケ月くらい経った頃です。  夜間に日本文学館からの電話が入りました。  相手は、  「こんばんは。以前、作品をご応募頂き、ありがとうございます、日本文学館です」 と名乗りましたが、本人自身の名前は言いませんでした。  ただ声を聞いたとき、  「あっ!」 と思いました。  聞き覚えのある声でした。  用件は、  「以前に原稿依頼をさせて頂いたが、その後、いかがか」 ということでした。  「届きましたが別に何もしていません。  すみませんが、作品を送ると何か貰えるんですか?」  「作品集を一冊贈呈させて頂きます」  「それだけなんですか?」  「はい」  「一冊だけなんですか?」  「はい。それ以上は実費ということになります」  電話がかかってきた頃は、児童文学を中心に色々と入賞していたときでした。  このエッセーは、僕の主観ではありますが、事実に基づいて書かれています。  だから正直に書きますが、かなりひどいことを言いました。  先回の「恋愛ポット」の時の対応に不満があったからです。  ただし今、考えると相当傲慢なことを言っています。
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