エッセー 入賞した時のこと②

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 受賞作『ぼくたち二人名探偵』は、次のような内容です。  <レイテントリマーと呼ばれる謎の怪人が、全国の小学校に出没してパニックを引き起こしていた。    「通知表には反対ですので、いただきにまいります」 の予告状と共に終業式直前に通知表が消えてしまう。  レイテントリマーの正体は、イケメンの男の子って女生徒が噂してた。  ぼくの名前は松山洋介。小学六年。ミステリーのファン。  成績は・・・フツーってことにしておこう。  一学期の終業式直前、突然クラス委員で成績優秀、美人の小島江美子さんに屋上に呼び出された。  「一応、同じクラスの松山君。  断っておくけど、ぜんぜん君に興味ないから・・・  勉強はたいしてできない。スポーツもできない。もてない。ハンカチはきたない。  ないないづくしのMAX。  君のこと、興味持つってこと、地球が滅びて月も火星もふっとんでしまってもぜったいないから!  だいたい君って・・・」  「ちょっと待ってよ。朝からそんなひどいこと言わなくたって・・・」  「君の悪口言いだしたら夜になっても終わらないから・・・  ところで君の家を借りることになったからお願いね」  レイテントリマーが、ぼくの学校に通知表をいただくと予告。  校長先生と教頭先生はパニック!警察に届け出れば、騒ぎが大きくなるというわけで、ぼくの家で通知表の入った箱を終業式まで預かり、小島さんとぼくとで二十四時間見張りをすることになった。  食事や睡眠は交代してとることにしていた。  通知表を入れた段ボール箱が置かれているぼくの勉強部屋。  クラスの人気NO1の小島さんと一緒にいられるのでウキウキのぼく。  もっと近づきたいのに、小島さんからは冷たい視線と冷たい言葉だけ。    「レイテントリマーって、もうこの家に来てるかもね。  松山君のようなマヌケならだいじょうぶって思って・・・」  あんまりな言葉・・・  ポロリと涙がこぼれた。  でも最後の大逆転!  ぼくのアイデアで通知表は無事、終業式に生徒に配られた。  でも小島さん、ぼくに先、越されたのがくやしかったみたいで、不機嫌な顏だったけど・・・  終業式が終わってからの帰り道。  小島さんが肩をつついてきた。  「洋君」  えっ、「洋君」?  小島さん、ぼくの腕をつかんで、サッサと歩き出した。  「君と学校で探偵事務所を始めることにした。  今から相談するから・・・  それからこの前、君に言ったことはぜんぶ取り消す。  さあ、行こう」 >   
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