エッセー 共同出版について⑤~余波~

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エッセー 共同出版について⑤~余波~

 日中友好団体で共同出版した『封神演義(ほうしんえんぎ)』は後々まで尾を引きました。  数年前、突然、電話がかかってきたのです。  みなさんでも名前は聞いたことのあると思います。大手の広告代理店です。  代理店の社員を名乗る男性が、うわずった声で騒々しく早口でまくしたてました。  以下は当時のメモと記憶に基づいて書いています。  「倉橋さんが以前に書かれました『ふうしんえんぎ』の件ですけどね」  「それは僕が参加していた日中友好団体で発行したものです。  窓口だったから、著者は僕になってますけど・・・」  「S新聞の〇月◇日の『一期一会』で紹介することにか決まったんです。  S新聞ですよ!  一面の四分の一くらい使って紹介するんですよ。  すごいですよね!  絶対、注目されますね」  一方的に話し続けました。  「それでこの記事がですね。一応、広告掲載に三十何万かかるんです。  三十何万ですね。  それで一応詳しく話をお聞きしたいと思いまして!よろしいでしょうか」  僕は話が途切れるのを待って相手に伝えました。  「すみませんが何言いたいんですか?掲載が決まったとか・・・  『新聞に自分の広告を出しませんか』 と言いたいんじゃないんですか?  どうなんですか?」  相手は無言。  「新聞が取材するのに、何でこちらがお金を払うんですか?  あなたが言ってるのは、広告掲載の勧誘なんでしょう?  違いますか?」  「はっ、はい・・・」  「何で最初からハッキリ言わないんですか?  こっちも忙しいんです」  「あ・・・すみません」  「責任者の人を出して下さい」   「えっ・・・それは・・・」  「出してください。  詐欺まがいの不愉快な電話かけてきて・・・  おかしいんじゃないですか?  出さなければ、朝日新聞にあなたの名前も書いて投書しますよ」  「はっ、はい」 ・・・・・・・・・・・  こういったやりとりでした。  もしあなたが共同出版をしたら、忘れたころに突然、こんな電話もかかってくるかもしれません。
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