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「あらあらあらあら!流石はアタシの娘ね!ゴウちゃんが義理のムスコになってくれたらアタシも嬉しいわ!」
「ちょっと待った!ヤるのはあたしが先よ!あたしが先に貰うって約束なんだから!」
「そうですよ!抜け駆けはよくないですよ!前はいいけど後ろは渡しませんからねッ!」
背後でギャーギャーと騒ぎ始めたギャラリーを他所に、僕はヴィエルジュを席に座らせた。
殴り合いの喧嘩になる前に止めればいいだろう。
折角微笑ましい場面だったのだから、黙っていればいいのに。
「さて、一足先に頂こうか。付き合ってたら折角の料理が冷めるよ」
ヴィエルジュは頷くと、たどたどしい手付きで料理を口に運んだ。
「…美味しい」
連邦捜査官は、因果な商売である。
給料は安いし、命の保証はない。
ーーーだとしても、そんなに悪くはないんじゃないかな。
幸せそうに笑うヴィエルジュを見て、僕はそう思った。
《了》
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