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「じゃあ、とりあえず教室に入るか」
わかった、の意味を込めて小さく頷くと頭を撫でてくれた。
(人に触られるのはあんまり好きじゃないんだけど……)
なぜか、これは嫌じゃなかった。
ーーーーー
「ということだ。自己紹介して」
「リュカ・クラインです。えっと、よろしくお願いします……」
あー、あー、あー
自己紹介って恥ずかしいよ!
遅れたから仕方ないんだけど、転校生みたいな挨拶の仕方って、すごく恥ずかしいよ!
あぁ、小さい頃人と付き合いなんてなかったのが、今ここで大ダメージ!
しかもだよ?
(あの子、女の子なのに男の子の制服着てるよ?)
(うわっ、すっげー美少、女?え、どっち?)
とか言われてるし!
間違われるのは慣れてても、注目されるのは、嫌だ……!
精神が不安定すぎて、何だかテンションがおかしくなるよ!
「あー、お前ら、その辺にしとけー」
口を開いたのはドレイン先生。
恥ずかしがり屋だからー、とか、病弱だからー、とかいって沈めてくれた。
(ありがとう先生……!)
心の中でお礼をしていると、パチッとどこかで音が聞こえる。
遠くのようで、近くのようで、大きいようで、小さい音。
変な感じがする、そんな音。
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