自己紹介、あんまり好きじゃない

2/6
202人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「じゃあ、とりあえず教室に入るか」 わかった、の意味を込めて小さく頷くと頭を撫でてくれた。 (人に触られるのはあんまり好きじゃないんだけど……) なぜか、これは嫌じゃなかった。 ーーーーー 「ということだ。自己紹介して」 「リュカ・クラインです。えっと、よろしくお願いします……」 あー、あー、あー 自己紹介って恥ずかしいよ! 遅れたから仕方ないんだけど、転校生みたいな挨拶の仕方って、すごく恥ずかしいよ! あぁ、小さい頃人と付き合いなんてなかったのが、今ここで大ダメージ! しかもだよ? (あの子、女の子なのに男の子の制服着てるよ?) (うわっ、すっげー美少、女?え、どっち?) とか言われてるし! 間違われるのは慣れてても、注目されるのは、嫌だ……! 精神が不安定すぎて、何だかテンションがおかしくなるよ! 「あー、お前ら、その辺にしとけー」 口を開いたのはドレイン先生。 恥ずかしがり屋だからー、とか、病弱だからー、とかいって沈めてくれた。 (ありがとう先生……!) 心の中でお礼をしていると、パチッとどこかで音が聞こえる。 遠くのようで、近くのようで、大きいようで、小さい音。 変な感じがする、そんな音。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!