木漏れ日の湖

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1人自室の白い天井を見つめる。 (僕はずっとここにいることしか出来ないのかな) 僕、リュカ・クラインは7大貴族を統べる天の貴族に生まれた。それなのに体が弱く、満足に動かすことも出来ない。 (僕がもっと強かったら、剣や魔術の練習、もっと出来たのかな) 生まれてから10年。僕は家から出たことがない。歩くことすらままならないのだから。 「リュカ、調子はどう?」 扉を開けて入ってきたのは僕と同じ白銀の髪の美しい女性。 「いつもより大丈夫」 「そう、よかった」 彼女は僕の母。 16の時に僕を産み、父と共に僕を育ててくれた。 「ねぇ母さん、お願いがあるんだ」 「なぁに?今日は誕生日だもの、なんでも聞いてあげるわよ」 そう。今日は僕の10歳の誕生日。 「僕、家の外に出てみたいな」 ずっとこのまま外に出れないのは嫌だ。 外に出たせいで体が悪くなるとしても、出たいんだ。
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