木漏れ日の湖

3/5
205人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「.......分かったわ」 「いいの?」 まさか許可してくれるとは思わなかった。 僕のことを自分の事のように心配してくれる母だからこそ、外に出たいというお願いは却下される前提だった。 「ただし、私もついて行きます」 「うん。わかった。ありがとう」 玄関を出発し、庭にでる。 僕はここまでなら来たことがある。抱っこでだけど。 (この門の向こうに出れば、家の外だ。) ごくりも唾を飲み込み、1歩を踏み出す。 風が目の前を通り過ぎる音。 草木の香り。 楽しげに飛び回る精霊たち。 何もかもが美しく見える。 母の方を振り返ると穏やかに笑っている。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!