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「.......分かったわ」
「いいの?」
まさか許可してくれるとは思わなかった。
僕のことを自分の事のように心配してくれる母だからこそ、外に出たいというお願いは却下される前提だった。
「ただし、私もついて行きます」
「うん。わかった。ありがとう」
玄関を出発し、庭にでる。
僕はここまでなら来たことがある。抱っこでだけど。
(この門の向こうに出れば、家の外だ。)
ごくりも唾を飲み込み、1歩を踏み出す。
風が目の前を通り過ぎる音。
草木の香り。
楽しげに飛び回る精霊たち。
何もかもが美しく見える。
母の方を振り返ると穏やかに笑っている。
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