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調理を続けた。30分経過。綾香は戻らない。そろそろ来てもいい頃だ。
45分経過。
「なんか、来ないね」
「アイスでも食べてんじゃない? 自分ばっかり」
マキが言う。それはそれで問題ない。買いに行かせたんだから、そのくらいで文句言うなよ。
1時間経過。
「さすがに、遅くない?」
チェーンが外れた? 綾香、ケータイ持って出てったっけ?
それから、綾香の番号を知らない事に気が付いた、それ以前に、持ってたかどうかもはっきり分からない。
1時間20分経過。
さすがにみんな、焦り出した。
「原田、来た?」
「私は見てない」
「……宮田コーチに、言ってくる」
陽菜が、コーチに言いに行った。マキは横を向いていた。
「え、一人で行ったの?」
コーチはタオルで顔を拭きながら言う。
「1時間半? さすがにそれは遅いわね」
時計を見ながら、不安げにいう。辺りは暗くなり始めた。
「自転車使えって言ったんだけど、歩いて行ったにしても遅いです」
「……ちょっと私探してくるわ、調理は続けてて」
調理は終わっていた。デザート以外は。
それからコーチは原田に連絡を取っていたみたいだったが、電話が繋がらないみたいな事を言って、外に出て行った。
それからしばらくして、やはり見つからないとコーチは帰ってきた。
「とりあえず食事をとりましょう、時間だし」
先輩たちが入ってきて、え、何どうしたの、と騒ぎ出した。
とても、カレーなんて食べれる気分でない。
すると原田が入ってきた。
「いやぁ、悪い、遅くなった。なんか夕飯食べにきたみたいだな。て、どうした?」
雰囲気の異常さに何かを察した原田に、コーチが事情を説明し、綾香の家に連絡を入れた。家にも戻ってないという。
原田が警察に通報、私たちも事情を聞かれた。
綾香は朝になっても戻らず、合宿は中止になった。
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