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真相
成人式当日。
長い市長の話が終わり、懇親会に入った。
みな二十歳越えているので、シャンパンにビール、チューハイが揃っている。
私はお酒はシャンパンを一杯飲んだだけで、後はウーロン茶にした。
久々に見る同級生、変わった人に、全然変わってない人に。
みな昔話や、近況で盛り上がっている。
隣のクラスの、名前忘れたけど女の子のお腹が大きかった。そんな人もいるんだなぁ、やはり地元は早い。
来た先生は原田だけだった。まぁ会いたい先生もいないけど。
「メグ、痩せたね」
「うん、ダイエット頑張ったの」
陽菜も野暮ったさが全然無くなり、垢ぬけて光って見えた。耳元のキラキラしたピアスがとても似合っている。
遥は、ものすごい知的に見える。社会人になって、しっかりしたのかも。
私は、変わったのかな。
すると後ろの方で高笑いする声がする。
マキだ。
濃い目の化粧で、髪は盛り、見ようによってはキャバ嬢だ。
クラスも高校も違ったため、会うのは中学の卒業式以来だが、勝気な気性は変わってない様である。
するとマキがこっちに気が付いて、歩いてきた。
「久しぶり、莉緒、陽菜」
「久しぶり」
「陽菜、きれいになったじゃん」
「ありがと」
どうでもいいような返事を、陽菜はする。て私は変わってないのか。地味にへこむ。
「部活、二人は県大会行ったよね。ヒナリオコンビ~」
酔ってるのか、テンション高い。
「……綾香、どうしたのかな」
徐に呟いた。
「あの時、私が行かせたからなぁ。莉緒、追いかけてったよね」
「うん、自転車で行けって言ったの」
「そか。何か変わった様子あった?」
「いや、特に何も」
マキはマキなりに、気にしているのだろうか。
「まぁ、どこかで元気にやってるかもしれないし、今日は楽しくやろう、じゃぁね~」
そう言って戻って行った。
少々唖然とした。陽菜と二人、しばらく動けないでいた。
すると学年一、イケメンで人気者だった彰浩と、猫なで声で話している。
マキは、どこまで行ってもマキなのだ。
何をしても、自分は悪くない。
笑って話しているマキを見たくなくて、また話の輪の中に戻り、会話をこなす。
その時、原田と目が合った。無表情でこっちを見ている。
この時は、別に深く考えなかった。
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