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あれから、一週間。
実家のリビングで寝ていたら、陽菜とメグと遥、あの時同じ部屋だったゆきなと真理が会いに来てくれた。
「もう、大丈夫なの?」
「うん」
大分、落ち着いてきたみたいだ。安定剤が効いているのかもしれない。
「まさか、原田がねぇ」
今から思えば、合宿所に来た時の原田は、微妙に顔色が悪かったし、落ち着きがなかった気がする。綾香が帰らない事に気を取られて気が付かなかった。
「……マキは、どう思ってんのかな」
あのマキの事だ。
買いに行かせただけで、自分は関係ないと思ってるだろう。
「でも、マキだけの責任じゃないよ」
マキの言いなりになって、黙っていた周り。
あの時、誰か一緒について行けば。
ジュース代だけでなく、私が代わりに行けば、少なくとも原田に殺されずにすんだだろう。
それ以前に、デザートなんか先輩だけに配って、私たちはなくても良かったんだ。
普段から、綾香には誰も近づかなかった。仲間に入れてなかった、それも要因の一つだと思う。
私も、綾香にいい印象がなかった。それはマキだけの責任ではない。
周りに飲まれて、綾香を知ろうとしなかった。
あの時、マキにもっと強く言っていたら。
例えばあれが陽菜だったら、私はどうしていただろう。
綾香だから、誰も何も言わなかったのだ。
マキに全員で歯向かっていたら、事態は変わっていただろう。綾香は殺されなくて済んだかもしれない。
それをしなかったのは綾香だったからなのだ。
綾香に対する、見下した意識からきたのだ。
「うちらも同罪だよ」
みんな下を向いた。
でも今何を言っても始まらない、綾香は帰って来ない。
「原田、自供してるみたいだね。昨日、遺体が見つかったって」
業者との賄賂も、自供したらしい。
綾香に見られたのが、そんなに脅威だったのか。何かの書類だ、とか言い張ればよかったのに。
度胸もない癖に、そんな事をするなよ。そんなに金が欲しかったのか。
コネを作るだけだったら、何もお金を貰わなくてもいいと思う。
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