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三泊四日の合宿。
朝は6時起床、ラジオ体操をしてランニング。
宿舎の裏の山道を走る。
1年生と2年生、時間帯を分けて走った。
緩い上り坂の山道、途中に休憩所がある。少々広い所で『玉姫塚』と呼ばれる塚がある。
昔、玉姫というお姫様が殺され、その後災害が止まず、塚を立てたら止んだ、というありがちな逸話。
そこまで走って少々休憩を取る。
綾香は長距離は苦手で、遅れを取っていた。
マキはあからさまにイライラして、足手まといだと愚痴をこぼしていた。
「はぁ~、やっぱり上り辛いね」
息を弾ませ、マキが言う。そして、塚の上に座った。
「マキ、そこには座らない方がいいよ」
そう言うとマキは少々ムッとしたようだった。
「莉緒ってば、ババくさい」
別に玉姫伝説を信じているわけではないが、座らない方がいいと私は思う。
「原田、来るの? どうでもいいけど」
「まぁ顧問だし、来ない訳ないっしょ」
どうでもいい話が始まり出した時、綾香が追いついた。話に夢中になってたマキが、綾香に気が付いて一瞥した。
「さぁ、休憩終わり、走ろう」
「ちょっと、マキ」
私が制するのも聞かず、マキは立ち上がる。権力者のマキには、誰も逆らわない。
「綾香、大丈夫? 走れる?」
「うん、大丈夫。もう下りだし」
そこからは、急な下り坂になっていた。そしてその先は国道で、しばらくすると合宿所の前に出る。
後から来る綾香を気にしながら、私も走り出した。
それからいつもの練習メニューで、走り込みやショットの練習、昼食はお弁当屋さんに頼み、しばし休憩の後、また練習。
夕食は一年生が作る決まりだった。
5時で練習を切り上げ、調理場へ向かう。夕食の時間は7時だった。
そこで事件は起こった。
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