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薄っすらと目を開けると、見慣れない真っ白な天井が見えた。
――ここ、どこ……。
ぼんやりとする頭に、カチカチというマウスのクリック音が聞こえ、そちらに顔を向けた。部屋着に着替えてはいるが、見慣れた肩幅の背中が見える。
「い……ざわ」
声が掠れる。微かな声でも気付いた伊沢が、勢いよくこちらを振り返った。
「起きたんですか!」
先ほどまであったゾクゾクとした寒気はなくなり、じわりと汗ばむ肌に服が張り付いて気持ちが悪い。むくりと起き上がると、ネクタイは外され、ワイシャツの一番上のボタンがあいていた。
「ここ……」
「俺の家です。会社からタクシーで来たの、覚えてないですか?」
「あ……」
少しずつ思い出してきた。貧血でブラックアウトしたが、支えてもらってすぐに意識は戻ったのだ。「救急車を呼ぶ」という伊沢の言葉に、「少し休めば大丈夫」と答えた気がする。しかし、「こんなところで休めませんよ! すぐ近くなのでうちに連れていきます」と却下され、連れてこられたのを思い出した。
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