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――伊沢は、昔も今も変わらず、僕のことが嫌いなんだ……。
目頭が熱くなり、泣きそうになる。黙り込む透に、伊沢の表情も曇る。
「俺が近寄ったら……」
さらにぐっと、伊沢の顔が近づく。
「え……?」
「怯えた顔するくせに」
キスができそうなほど近づいた顔に動揺し、思わず顔を背ける。
「できるじゃないですか。そうやって、拒絶すればいいんですよ」
吐き捨てるようにそう告げると、ぱっと退いて歩いて行ってしまう。重みが消えたソファーが揺れ、目の前が明るくなった。
「シャワー浴びてきます」
そう言いながら、一度も振り返らず、廊下の先に消えた。
「ちが……う……」
閉まった扉に投げかけた言葉は、空気中に溶けて消える。
――いやじゃ、なかった……。
韮崎には触れられたくないと思いながら我慢していた。しかし伊沢には、触れてほしいと願ってしまった。キスをしたいと思ってしまった。その動揺で、思わず顔を背けてしまったのだ。
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