第1話 1.出会い

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「おはよ、シオ」    言いながら顔を覗かせたのはお小言の宝庫、茶髪の青年―ミハルだった。  親方の工房にいたときからの付き合いで、今はシオの工房で雑用全般をこなしてくれている。それは感謝しているのだが・・・。 「お、おはよ、ミハル」 「朝ご飯、できたよ」 「・・・」 「?なに?行かないの?」    挨拶の後に続く小言に身構えたシオだったが、何もなかった。    今日はお小言ナシ日らしい。  もしかしたら徹夜したことに気がついていないのか、それともミハルが心を入れ替えてくれたのかもしれない。 「い、行くよ!朝ご飯食べたいもん」    シオはホッと胸をなで下ろし、ミハルに続いて部屋を出た。    中庭を抜けて台所へと向かう。台所から漂ってくるパンの香りに自然と顔が緩んだ。 (守護像もだいぶ形になってきたし、朝から小言も言われないし、なんて良い1日のスタートだろう) 「あー、お腹空いたぁ」    朝ご飯何かな、と上機嫌でミハルの後ろから台所へ入ろうとした時、くるっとミハルが振り返った。 「そりゃそうでしょ。一晩中寒い所で作業してたんだから」  しかめっ面で言われ、シオの笑顔が固まった。 (バレてた・・・)    1日の始まりはやはりミハルのお小言から始まるらしい。
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