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裏通りに一人残されたミハルは、手に握らされた手綱に視線を落とす。
(あの人はクロードさんと歓談、シオは作業スペースを空けるために部屋の大掃除中……)
目の前にある荷馬車には、大量の薪が積まれている。
その現状を理解したミハルは天に向かって絶叫した。
「この量、僕一人で運べってこと⁉」
絶望的な気分になる。午前中から頑張って棚を完成させたのも一人、これから薪を運ぶのも一人……ずっと一人で肉体労働を課せられている気がする。
ミハルはガックリと肩を落とした。
「こんなことなら、クロードさんの友人に話しかけなきゃ良かった……」
「ぶるるぅ」
荷馬車に繋がれた黒い馬だけが同情するように鼻を鳴らした。
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