第3話 2.ミハルの奮闘

47/55
412人が本棚に入れています
本棚に追加
/585ページ
「ミハル、暇でしょ? 火の番よろしく」 「暇って……僕、朝からずぅっと働きっぱなしなんだけど――」  げんなりした顔を見せるミハルに冷ややかな視線を向ける。 「私だって動きっぱなしだけど?」  室内を普段よりも暖めることで、他の石に悪影響があってはいけないと、部屋にあった奇石や道具類は全て別室に移動させたのだ。自分だけが大変だったなどと思わないでほしい。  シオの刺々しい視線に突き刺され、ミハルは唇を尖らせた。 「分かってるよ。もぉ、人使いが荒いんだから」  口の中で文句を言いつつ、薪を抱えて渋々暖炉の脇に移動する。一応、手伝ってくれる気はあるようだ。 (じゃ、私も作業に取りかかろうかな)  ミハルが暖炉に薪をくべ始めたのを確認してから、シオはブラウスの袖を捲った。
/585ページ

最初のコメントを投稿しよう!