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「ミハル、暇でしょ? 火の番よろしく」
「暇って……僕、朝からずぅっと働きっぱなしなんだけど――」
げんなりした顔を見せるミハルに冷ややかな視線を向ける。
「私だって動きっぱなしだけど?」
室内を普段よりも暖めることで、他の石に悪影響があってはいけないと、部屋にあった奇石や道具類は全て別室に移動させたのだ。自分だけが大変だったなどと思わないでほしい。
シオの刺々しい視線に突き刺され、ミハルは唇を尖らせた。
「分かってるよ。もぉ、人使いが荒いんだから」
口の中で文句を言いつつ、薪を抱えて渋々暖炉の脇に移動する。一応、手伝ってくれる気はあるようだ。
(じゃ、私も作業に取りかかろうかな)
ミハルが暖炉に薪をくべ始めたのを確認してから、シオはブラウスの袖を捲った。
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