写真でめぐる昔旅♪~伊勢神宮その2~

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 大変ではあるが、私は大喜びで歩を進めていた。  これだ、これぞまさに神話の舞台。  私たち人間が住む世界とは、まるで違う空気。  ちょうど、私の前後に歩いている人はいない。  少しだけ、立ち止まってみた。  静かだ。  運動不足ですっかり上がってしまった私の息づかいしか聞こえない。  遠くで、ザワワと音がした。  風が吹いている。  察するに、かなり遠い。  普段、街に住んでいて、こんなに遠くの風が聞こえることがあっただろうか。  ふと、その風がこちらに走ってきた。  遠くの木々が揺れているのが、どんどん手前の木に移っていく。  見える。  風が走ってくるのが見える。  木の揺れを目で追う。  あ、目の前……と思った瞬間、ぶわっと風を感じた。  風はそのまま、あっという間に後ろに流れて行った。 「……」  振り返って見送れば、揺れる木は1本、また1本遠ざかっていく。  昔の人が、風を神として具現化する気持ちが、わかったような気がした。  ~*~*~ ↓ラストスパート。この斜面を登り切った先に風穴がある。fe3786f4-55f4-4a64-b65e-f1455824f1de ↓岩肌にぽっかり開いた風穴。6c2d7893-68ae-48c5-88e4-1e5057b3ca87  ちなみに、この時は穴から風は吹いていなかった。  まあ、自然だもの。  調子が悪い時もあるわな。  人が来ないことをいいことに、ここらを神様が歩いている様を妄想してみる。  やあ、これはいい。  いいじゃないか、妄想が捗るというものだ。  ふと、遠くから人のやってくる気配がした。  後ろにはいなかったはずだが、私がのんびり歩いていたせいで追いつかれたらしい。  ここは譲って、帰り道をまた1人で堪能しよう。  私は、そそくさと山の急斜面を降りた。  ~*~*~  以上、天の岩戸のご紹介(写真つき)であった。  市街地からは遠くないが、何せ山奥なので色々大変なのは否定できない。  しかし、それを補って余りある魅力があるのも確かだ。  自然大好き、人が混まないところ大好き、秘境大好きという方。  機会があれば、ぜひ。 →→NEXT:○伊雑宮
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