写真でめぐる昔旅♪~広島・宮島→18.12.22

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 広島市街を通過して、国道2号線・西広島バイパスを走る。  この辺から、徐々に前が詰まり始める。  ほらね、やっぱりね。  そうそう、こんなもんだと思っておけばいい。  流れる音楽に合わせて、歌いながら頭をブンブン振った。  陽が落ちているから、外から見えないのが幸いである。  まあ……見えても構わないのだが。  せいぜい、変な人だと思われるだけだ。死ぬわけでも金を取られるわけでもない。  しかし、辺りが真っ暗になると何となく不安になる。  このまま夜遅くなったらどうしよう。  時計を見れば、まだ5時過ぎ。  私が旅に行くのは、春から秋が多い。冬に旅行と言ったら伊勢くらいか。  いつもの感覚だと、こんなに暗いと7時過ぎ、うっかりしたら8時になってしまう、なんて思う。  ああ、日の入りの時間を考えてなかったなあ。  渋滞は、突然解消した。  みんな、五日市方面に降りていくのだ。  そちらに向かう車の数がすごい。道が完全に詰まっている。  まるで、事故渋滞でも起きているかのよう。もしくは、王蟲の群れ。  その横を通り過ぎながら、「うわ、うわわわ」と言ってしまった。  通過後は、先ほどのノロノロが嘘のよう。  どうしたんだ、五日市……。何があったんだ、五日市……。  国道は、海沿いにぶつかる。  カーブの先、目の前に見える海。ここはわーっと喜ぶところ――。  いや、何も見えない!  夜は暗かった! 当たり前だ!  しかし、本当に何も見えない。――白線さえも。  灯り、少なくないか?  ぽつぽつ現れる小さな街灯、周りの車のライト、あとは遠くの信号くらいしか光がない。  どこがカーブで、どこが車線の境かわからず、目を丸くしている私の横を、地元のみなさんはバンバン追い抜いていく。  そうよね、道も勝手もわかるし、暗いのにも慣れてるものね。  1人、トホホだのアハハだの言いながら、アクセルを踏む私であった。
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